幻想人迷劇 パラレルワールド(適当)
気がつくと、俺はなにやらとても都会的な場所にいた。俺は外の世界に来てたのかと思ったが、どうやら違うらしい。
タワーみたいな所にはでっかい変な生き物がくっついている。外の世界じゃ、まずありえない光景だろう。
ずっと上の方を見上げていた自分の視界を前に戻す。
「…!?」
思わず目を丸くする。
今俺がいる狭い広場のようなところに、どこかで見たような外見の男女が沢山いる。
あの外見、どこかで。
ふと自分の記憶を辿る。
「…マジか」
思い出したのは1つ。
スプラトゥーン、というゲームの中に登場するインクリング達だ。
どうやらここはハイカラシティで、俺は東方の世界「幻想郷」に迷い込んだ時と同じく、ゲーム「スプラトゥーン」の世界に来てしまったらしい。
それならば。
そう心の中で呟き、自分の体を見る。
間違いない、俺もこの世界の住人(人なのか?)と同じ体の作りをしている。
「あれ、出来るのかな…」
インクリングの特徴の一つであろう、イカになる事は出来るのだろうか。
そう思い、こんな感じかなーという風に体を動かしてみる。
ビチャ。
うん。出来る。
自分の状況を確認する。
どうやらランク、という概念で表すと俺は現在最高ランクらしい。
ならば、装備は。
これも確認してみると、全て揃っているようだ。
「…じゃあ、まずは。」
射撃場のような場所に移動し、目に付いた、というよりは気になっていたブキを取り、試しうちをする。
スクイックリンβ。チャージャー、簡単に言うとスナイパーのタイプのブキだ。
インクをチャージして打つ、エイムが大事なブキだ。
このブキは射程は他のチャージャータイプのブキと比べると劣るが、チャージに必要な時間は短くなっている。
俺がやろうとしているスタイルは、凸砂、と呼ばれるものだ。
スナイパーにも関わらず前線に突っ込み、高威力なのを活かして一撃で仕留める。そんなスタイルだ。
狙い撃つのは散々やらされた事だし、身に染み付いている。エイムに関しては問題は無い。
スクイックリンβの操作を覚え、試しうちをやめてハイカラシティに戻ってくる。
そのまま適当に他の装備を揃え、実戦に行く。
アタマはウーニーズBBキャップ。
フクはマウンテンオリーブ。
クツはブラックビーンズ。
ギアは気にしないで揃えた装備だ。
見た目は…知らん。
人数が揃い、ついにナワバリバトルが始まる。場所は、デカライン高架下。
味方は
ダイナモローラーテスラ(女)
パブロ(男)
プロモデラーRG(女)。
敵は
パブロ(男)
リッター3k(女)
わかばシューター(女)
スプラシューター(男)。
…え?ガチマッチ?
やだやだあそこの人達怖いもん!
バトルが始まった。
軽く自陣を塗りつつ前へ進む。
ダイナモが端の通路を塗っているようだ。
中央エリア、敵陣側に突っ込む。
インクを溜め、敵側の様子を伺う。一番に見えたのはスプラシューターのイカだ。
「…ここだ!」
撃ち抜く。するとその方向から大量のインクが飛んでくる。すぐにイカになり回避する。この飛沫、恐らくパブロだ。
曲がり角付近にトラップを仕掛け、裏を取りに行く。さっきから背中に斜線を当てられている気がする。
撃たれる前に逃げ、リッターが俺の後ろから来ていたプロモデラーをターゲットした頃を見計らいバレないように近づき撃ち抜く。
その付近を塗りつつ、敵リス側に攻めていく。そこに待ち伏せていたのは、わかば。
危険を感じ、すぐにチャージして撃つ。
だがそのインクが届くよりもわかばがバリアを展開する方が早かった。
「…チッ!」
恐らくこのわかばは最初に自陣を塗り、スペシャルを貯めていたのだろう。
リスポーンしたリッターもそこまで来ていたので一旦逃げて中央の様子を見る。
バシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャバシャ。
「オラオラオラオラオラ!!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄!!!」
味方パブロと敵パブロが壮絶な戦いを繰り広げていた。
もしかしたら遊んでるかも知れないのでそっとしておき、今の内に敵に塗られていた中央を塗りに行く。
一体、いつの間に塗られていたのだろう。
そんな事を考え、塗りだした瞬間。
後ろから、スプラシューターが来ていた。
「しまっ…!」
やられたと思い、身構える。
あまりにも何も無いので目を開けると、そのスプラシューターは倒されていた。
その後ろには味方であるダイナモがいた。
きっと俺のピンチを救ってくれたのだろう。
「大丈夫だった?」
「すいません、助かりました…」ナイス!
「例には及ばんよ〜」
なんか、面白い子だなぁ。
お互いに塗りに戻る。
パブロ大戦を見てみると、オラオラ言ってた味方パブロが勝っていた。
「ふぅ、いい汗かいたぜ」
「…。」ナイス!
「お、ありがとよー」
中央を塗り返し、再び敵リス方面へ向かう。
俺は側道から、パブロは真ん中から向かった。
さっき倒したスプラシューターとパブロもリスポーンして来てとてもマズイ状況だった。
「間に合え…!」
すぐにリッターを始末し、わかばはパブロが倒してくれた。
「大丈夫ですか?」
「問題ない。」
「無事で良かったな!」ナイス!
クールな子なんだな。色んな性格の子がいて面白い。
ダイナモちゃんも合流し、敵陣をえげつないほど塗り進めていく。
「…ありがと」ボソッ
プロモデラーちゃん、クーデレか。
本人はきっと聞こえないように言ったのだろうが、俺にはちゃんと聞こえた。多分パブロさんは聞いてない。
みんなで塗っていると、敵チームが四人固まって一斉射撃してきた。
パブロさんは近くにいたスプラシューターを、プロモデラーちゃんはわかばを、ダイナモちゃんはパブロを一撃で。
俺は咄嗟にスペシャル、スーパーショットを使いリッターを瞬殺。
「なんか私扱い酷くない!?」
そんな断末魔が聞こえたのは気のせいだろう。
奇跡の撃ち合い(全勝)が終わると同時にバトルも終了した。
結果は言うまでもなく完勝。
みんなそれぞれハイカラシティに帰って行った。
「いやー、最後のアレ、熱かったね~!」
「え?あぁ、そうだね、チームが固まってくるとは思ってなかったよー」
「しかもみんな撃ち勝ったしね!」
「あれには驚いた…」
「しかもキミなんかスーパーショットでクールに倒したもんね!カッコよかったよ~!」
「お、俺はかっこよくなんかなかったぞ?女の子に助けて貰うとこもあったし…」
「それはそれ!それを言ったら、キミとパブロくんでプロモデラーちゃんを助けたじゃない!」
「そりゃ、女の子のピンチに助けてあげれない男はダサいじゃん?それはヤダからね…」
「(そういう所がカッコいいんだよ?)」
「それじゃ、私はこの辺で帰ろっかな〜。今度敵として会ったら、負けないからね〜?んじゃ、ばいばーい!」
「おう!俺も負けないぞ〜?」
自分の部屋に戻り、深い眠りにつく。
きっと次起きた時にはこの世界に俺はいないんだろうな。
それは悲しいけど、また、来たいな…。