紅蓮のブログだよー。

創作を気ままに置いていくブログです。

幻想人迷劇 その弐拾陸

あの後俺は家に帰り、湯に浸かって寝た。
起きれば元気に戻ってるだろう、と信じて。

「...ん、んぅ...」

小鳥がさえずり出したのをスイッチに目が覚めた。
とりあえず今日は博麗神社に行く予定だからとっとと支度しよう。

「...痛っ」

自分の脚が妙に痛い。何故だろう。
ふと、昨日のことを思い出す。
フランちゃんと弾幕ごっこして...
ここでもう気がついた。

「筋肉痛かよ...」


〜博麗神社へ〜

「...って事がありましてね...」
「...ふふふっ、ごめんなさいね、笑いが止まらなくて」
「自分でも笑い話にしかならないなって覚悟で話してたので大丈夫ですよ...あたた、まだ痛い。」

なんとか身支度を済ませて神社へ来たのだが、よく考えたらなんで箒で移動してるのに足が筋肉痛なんだろう。
腑に落ちないものを感じたけど、気にしたら負けな気がするので気にしないことにした。

「...あ、そういえば、あんたと私って弾幕戦したこと無いわよね?」
「言われてみればそうですね...ってまさか」
弾幕戦しましょ!」

突然のこと過ぎて頭が追いつかない。そもそも勝てる気がしないので敢えて戦わないようにしてたのにこの有様である。

「いや、でも筋肉痛...」
「男が弱音吐かないの!ほら!」
「いや、ちょ、痛たたた!」

無理矢理引っ張られたせいで足が超痛い。
まぁ、空中で戦えば足は大丈夫か。

「仕方ないですね...でも真面目にはやりませんからね?色々と試したいことあるので。」
「問題ないわ!さぁ始めましょう!」

何でこんなにやる気MAXなんだこの巫女さんは。


「じゃあ私から行くわよ!夢符『封魔陣』!」

こっちの了承もなく突然始まった。まぁいきなり明珠暗投とかよりはまだマシだと思いたい。
とはいえ、対応出来ずに周りを札で囲まれてしまった。身動きが取り辛い状況で弾が飛んでくるので非常に厄介だ。

「どうしろと...」

兎にも角にもこちらからも動かなくては何も出来ないから、何か手を打たなくては。
とりあえず1発。

「恋符『マスタースパーク』!」

霊夢さんに向かって撃ったはいいものの、やはり避けられた。
でも封魔陣を形成している札の壁に穴を開けられたので閉まる前に突破する。

「むぅ、やるじゃない」
「流石にアレで終わるわけには行かないですので...」
「まぁそうね、アレで終わられたら私もつまらないもの。」
「そういう事です。...こちらからも行きますよ!黒魔『イベントホライズン』!」

弾幕を形成して、攻撃を仕掛ける。

「...えっ!?」

霊夢さんに向かって弾を撃とうとしたがそこにはもう誰もいなかった。
ならばどこへ行ったのだろうか?

「...甘いわね」
「...っ!時符『プライベートスクウェア』!」

背中側から亜空穴で飛び出してきたであろう霊夢さんの声が聞こえたので少しの間だけ時を止めて距離を取る。
ザ・ワールドを使うには一呼吸か二呼吸必要だから、別のスペルで止めるしかなかったのだ。

「...本当にその異次元転移やめてください...」
「使える手段は使わないと勿体無いじゃない?」
「そうですけども!あーもう!試したい事今からやりますから!覚悟して下さいね!」
「それを待ってたわ!」

道具袋から刀を1つ取り出し、自分の前に構える。
自身の持っている、夢想封印のスペルカードを発動し、霊魂のターゲットを構えている刀にする。
力を込め、刀に霊魂を纏わせる。
周りに細かい弾幕を張り、霊夢さんに向かって飛び出す。

「霊符『夢想封印 斬』!」
「…っ!」

霊夢さんに躱されたものの、そのまま切り抜ける。
止まった後、刀を振った空間に大きな爆発が起き、そこから大量の弾幕が全方位にばらまかれる。
その弾幕すらも霊夢さんは軽々と避け、再び正面に対峙した。

「当たらない…」
「凄いスペルね。流石に危険を感じたわ。」
「でも霊夢さん軽々と避けてたじゃないですか」
「まぁ、密度の高い弾幕は今まで何度も経験してるから。でも、今のスペル、私じゃなければ普通に当たってたと思うわよ。それくらい、強いスペルだったわ。」
「有難うございます、博麗の巫女の実力は本物ですね…感服致しました。」
「いえいえ。さて、終わらせましょうか。」
「えっ」

即座に霊夢さんが後ろに下がり、印を組む。
なにやらマズイ気がしたので一筋のレーザーを霊夢さんに向かって撃った。
レーザーは霊夢さんに命中したが、手応えがない。
次第に霊夢さんの影があやふやになり、集中しないと目視出来なくなってくる。

「このスペルは、まさか…!」

「『夢想天生』」

霊夢さんの周りに陰陽玉が1つ現れる。陰陽玉は洗濯機の様に霊夢さんの周りを旋回している。
2つ目の陰陽玉が現れる。その後も、3つ、4つと霊夢さんの周りにある陰陽玉が増えていく。
その陰陽玉が8つになった瞬間、大量の札の弾幕が襲い掛かって来た。
自分はなす術もなく、押し寄せてくる大量の弾幕に撃ち落とされた。弾幕戦はここで終わった。


弾幕戦後〜


「足、大丈夫?」

氷袋を持って、霊夢さんが神社の中から戻ってきた。
あの後、気絶して落下していた自分は地面に着く少し前に気を取り戻し、着地体勢を整えようとしたが、間に合わずに足を捻ってしまったのだ。

「大丈夫ですよ。寝て起きればすぐに治るはずです。」
「そう?なら、いいんだけど。」

霊夢さんはそれでも心配そうな顔をする。根はきっと優しい人なのだろう。多分。

「さて、と。それじゃ、ここいらでおいとましますね。」
「うん、気を付けて。」

そうして博麗神社を後にする。
正直、足は超痛い。でも、あそこでお世話になってると申し訳なくなってくるから早めに逃げたかった。
明日は永遠亭に寄ろう。多分ちょっと骨折れてるから。

「…長い午前だったなぁ。いてて…」