リンミドが書きたくなった。それ以外に理由がいるのかい?
※この話はトワプリでラスボス撃破後にミドナがこっちの世界に残った設定の話です。この時点ではまだ恋に落ちてはいません。しかも真のミドナの姿ではありません。
―最近、アイツを見ていると胸がモヤっとする。
「...やれやれ、本当にお人好しな勇者様だこと。」
ガノンドロフを倒したあと、アイツは村に帰って平穏な生活を送る、と言って帰ろうとした。
ワタシはそんな生活を見てからかってやろうと思ってこの世界に残り、ついて行く事にした。
だがワタシがいくらからかってもアイツは嫌な顔ひとつせずに返してくるのでつまらない。
そんな状態が続いてもう数ヶ月が経つ。
「頼まれたら断れない性格なんだよ」
家の修理の為に木を集めて欲しい、と頼まれたワタシ達(まぁ、まだワタシは存在をかくしているが)は言われた通りに木を集め、帰路についたところだった。
「全く...。早く帰りたいし、手伝ってやるよ、少し寄越しな。」
「いや、ミドナとはいえ、女性に荷物持ちなんてさせれないよ」
アイツはそう言うと屈託の無い笑顔をワタシに見せた。
(...まただ。また胸が、モヤっと...)
アイツがワタシに笑いかける度にワタシの胸がモヤっとする。
―この感覚は一体何なんだ。
「ハァ...じゃあお言葉に甘えてやるよ」
相談しようかと思ったが、恐らく当事者であるアイツに訊く訳にはいかないし、まずアイツに相談なんてワタシが許さない。
暫く経ってトアル村に着くとアイツは頼み事をした村人のもとへ真っ先に向かった。ワタシはアイツの影に潜んでやり取りが終わるのを待ち、近くに誰もいなくなった頃に影から出てアイツの様子を見ていた。
「なぁ」
「?どうした、ミドナ」
「オマエ、明日はどうするんだ?何処かに行くつもりだろう」
「え、なんで分かったの」
「オマエの足取りが楽しそうだったからな。」
「そ、そうか。...ハイラル城に行くつもりだよ。」
「ハイラル城って...何をしに行くんだ」
「この前、ゼルダにいつかハイラル城に来てくださいね、って言われてたのを忘れてて。」
「オマエ...そういうのは言われた後すぐに行くべきだろ...」
「...返す言葉もございません」
「...とりあえず、今日はもう寝ろ。どうせ疲れてるんだろ?」
「うん、そうするよ」
[翌日]
「...よし、行こうか」
「オマエ、準備にそんなに時間かかるタイプだったっけ」
「この服着るの久しぶりだったからなぁ」
「全く...こんなのが本当に世界を救った勇者様なのかねぇ」
「ずっと一緒にいた癖に今更何を...まぁいいや、出発しよう」
「はいよ」
ハイラル城に着き、アイツの顔パスで城内に入ると豪華な装飾が目に入った。
「うーん...ゼルダ怒ってるかなぁ」
「もし呼んだのがゼルダじゃなくてワタシだったら顔見せた瞬間首が飛んでると思った方がいいぞ」
「うわぁ...」
「ククッ、どうなることやら...」
(まぁ、不安を煽ったけれども、間違いなくゼルダの性格なら怒りはしないだろうな。むしろ笑って許しそうな気すらするが)
明らかに不安げな表情を浮かべているアイツを面白がりながら、ワタシ達はゼルダのもとへ急いだ。
「ハァ、ハァ...ッ...ゼルダ!」
「リ、リンク!?そんなに急いでどうしたのですか!?」
「遅れて...っごめん!」
「...何のこと...でしょう?」
「...え?だって...」
アイツが事情を説明し終わると、ゼルダは笑いだし、怒ってなんかいない、と言った。
ワタシも笑いを堪えきれず笑いだし、アイツだけがポカンとしたまま笑いがこだました。
結局、ハイラル城に泊まる事になり、色んな事があった後の夜、アイツが寝た後、なかなか寝れなかったワタシは部屋を抜け出し、ゼルダの所へ向かった。
「なぁ、ゼルダ」
「あら...ミドナさん。どうしたのですか?」
「最近さぁ...アイツの顔見てるとなんかこう、胸がモヤっとするんだけどさぁ、何なんだろう?」
「!...ミドナさん、それは...」
「それは...?」
「...恋、ですわね」
「...っ!?そ、そそそそんな訳あるわけ...!」
「いいえ。間違いなく貴女はリンクに恋をしています。今の反応で確信しました。」
(い、いやいやいや、確かにアイツの事は嫌いじゃないけど、す、す、好きだなんて...ワタシがアイツを...リンクのことを...!?)
[そしてまた翌日]
「ん...んぅ...ミドナおはよう...」
「ふぇ!?あ、お、おはようっ」
「?どうしたの?ミドナ、なんか様子おかしいよ?」
「な、何でもない!ほら、早く着替えろよ!」
「お、おう」
(だ...ダメだ、変に意識してしまう...)
「準備出来たぞ、ミドナ」
「あ、相変わらず準備が遅いな、リンクは」
「!...ふふっ。」
「な、なんだよ」
「いや、やっと『リンク』って読んでくれたな、って。」
「...き、気のせいだろ!」
「そうだねー?」
「こ、このっ...バカ...。」