紅蓮のブログだよー。

創作を気ままに置いていくブログです。

イカノイア 2話

「さて、シズク。」
「な、何?ハク。」

今日はハイカラシティに来てから2日目。
昨日はあの後、飽きるまで二人でハイカラシティの観光をし、帰った後すぐに寝てしまった。
そして、今、2日目の朝に至る。

「ここに住むイカしたイカ達が毎日行っている事はなんだ。」
「え、うーん...ナワバリバトル...?」
「その通り!さぁ今日はそのナワバリバトルに行ってみようじゃないか!」

ハクは満面の笑みで叫んだ。

「あぁ...朝からうずうずしてると思ったらそういう事なのね...わかった。じゃあ準備しようか。」
「おう!」

ハクはすぐ着替え、シズクを待った。

「お待たせ...着替え早いね」
「楽しみで仕方なくてな!」

ハクからすれば、シズクもいつもより早い着替えなのだが、そこは触れないことにした。
おそらくシズクも楽しみなのだろう。

「んじゃ行くか!」
「うん」

二人は街へ出た。そこでハクはまだ行ってない場所があることに気がついた。

「なぁ、シズク」
「どうしたの?」
「あの路地裏...なんかありそうじゃないか?」
「...確かにありそうだけど、少しやな予感がする」
「そうか?まぁ行ってみようぜ!」
「えぇ、ちょっと...」

ハクはシズクの手を引いて路地裏へ向かった。
そこには、ウニのような頭をした何かがいた。

「...何アレ」
「なんだろうな。あのー、お兄さん?」

ハクはとりあえずその男性とおぼしきそれに話しかけた。

「ちゅーす」
「...ん?オマエぜんぜんイカしてないのナ」
「おにーさん、ランク4くらいのイカしたヤツにしかキョーミないんだワ」
「もうちょっとバトルでブイブイいわしてからきてくれナ」
「ち、ちょっと待ってくれ!」
「ん?」
「せめてアンタがどんな事をしてるのかだけ聞かせてもらえないか?」
「んー、しかたないナ、特別に話してやるヨ」

そう言ってこの男性は話し出した。
ハクはそれに聞き入り、シズクはそれを少し離れたところで待つ形になった。

しばらく聞いていると、シズクは後ろから声をかけられた。

「ねぇねぇ、キミ初心者?」
「...私ですか?」
「そうそう!てかキミ以外にいないけどね!もし良かったらさ、ボク達とプラベで遊ばない?」
「...あ、いや...け、結構です...」
「大丈夫!優しくするからさ!行こうよ!ね?」

二人の男がシズクの手を引っ張ろうとしたところで、突如その手が持ち上げられた。

「はーいストップ。」
「あ?ンだようるせぇな、邪魔すんなよ!」

男達は手を振り払おうとしたが、逃がしてもらえない。

「でも、その子嫌がってるじゃん。」
「文句あんのかよコラ!」
「別に文句は無いけどさ。そんなにプラベで遊びたいなら俺が相手になるよ?二人まとめてかかってきなよ」
「...上等だコラ、逃げんじゃねぇぞ!」
「はいはい、逃げませんよーっと。...あ、君もおいで?そこのボーイフレンドと一緒にさ。」

その男性はシズクに声をかけ、ハクと一緒に来ることを勧めた。

「...あ、はい...」

シズクはまだ話しているハクの手を引っ張り、プライベートマッチに参加し、救ってくれた男性のチームに入り、見ることにした。

ステージはハコフグ倉庫。
後から教えてもらったのだが、男性の武器は3kスコープ、不良達の武器は.96ガロンと.52ガロンだった。

「君達は危なくない所で見ててなー!」

そう言って男性は慣れた様子で出ていった。
とりあえず二人は近くのインクに隠れ、じっと見ることにした。
すると、不良達が中央に進んできた。

「お、来た来た...。」

彼は武器を構え、身を隠しながらチャージを始めた。

「アイツはリッターだ、どこにいるかわかんねぇから気をつけろよ」
「当たり前だ...うぐっ!?」
「...ウッソだろ...」

「とまぁ、こんな感じで。」

彼は少し身を乗り出した瞬間に射撃し、見事に命中させてみせた。

「すっげぇな...」
「うん...」

「...クソ!隠れてねぇで出てこ...ん?なんだ、見当違いな方向向いてんじゃねぇか、今のうちに下から倒してやる...うわっ!」

今度は全く違う方向から瞬間的に方向変換して命中させてみせた。

「どんなもんよ、へへっ」

彼は自慢げにしている。

「何今の...何したかわかんなかったんだけど...」
「か...恰好いいな」

そのうち不良達がまた戻ってきた。

「出て来いっつってんだよ!」
「かかってこいよ卑怯者!」

「はーいよー」

今にも口笛を吹きそうな気軽さで彼は中央に出た。

「ははっ!馬鹿正直に出てきやがって!死ねやお...ぎゃあ!」

先に気がついた.96ガロンの方が一瞬でやられた。
彼の手には、水風船のような物が握られている。

「馬鹿なのはどっちなのかね...それっ!」

彼はその水風船のような物を残った.52ガロンに投げつけ、倒した。

「強すぎだろ...」
「強すぎだね...」

結局、その後は中央に陣取った彼に近づくことも出来ずに不良達は惨敗した。

「くっそ...覚えてろよ!」
「何のことかわかりませーん。」

罵詈雑言を吐きながら逃げる不良達を横目に、彼はスッキリしたような表情で茶化していた。

「あ、あの...ありがとうございました。」
「え、あぁ、いいのいいの!俺が好きでやった事だから!」

シズクがお礼を言うと、彼はそんな言葉もったいない、と言わんばかりに何故か言い訳している。
ハクは考えていた。アレと同じ武器が使いたい、と。そして今度は俺がシズクを守るんだ、と。

「あの、お兄さん!」
「お、どうした?」
「名前聞かせてもらえませんか?それと出来ればお友達に...」
「おお、いいよー!名前は紅蓮って言うんだ、よろしくー!そっちの子も、よろしくねー!」
「あ...はい...宜しくお願いします...」

そんなやり取りをしていると、ロビーから1人のガールが出てきた。

「おーい紅蓮くーん?まだなのー?」
「あぁごめんダイナモちゃん!ちょっとゴロツキに絡まれてた初心者君たち助けてて!」

紅蓮にダイナモちゃん、と呼ばれたガールは二人を見るやいなや走ってきて、

「わぁ、君達これから頑張るんだね!?私、ダイナモっていうの!二人ともよろしくねー!あ、フレンドになろう?」
「え、あ、はい!」
「...宜しく、お願いします...」

二人は勢いに流されながら紅蓮とダイナモと連絡先を交換した。
ハクまでペースにのまれる程の勢い。
この人と上手くやっていけるか少しシズクは不安になった。