紅蓮のブログだよー。

創作を気ままに置いていくブログです。

補足

「こんな非日常は望んでない」、ですが、これはゲームアプリ「アンジュ・ヴィエルジュ」を原作とした、二次創作です。

オリジナル設定増し増し、キャラ崩壊増し増しなど、かなーり酷いですが、暖かい目で見て上げて下さい。出来れば読まないで下さい。自己満足の妄想を書き連ねてるだけなんです。

こんな非日常は望んでない 一話

自分で言うのも変だが、俺はどこにでもいる高校生だ。
…まさかこんなことになるなんて、思ってもいなかったんだ---



~数日前~

「よーし、帰りのホームルーム始めるぞー、席に着けー」

ある夏の日。
クラスの担任がいつものように号令を掛けさせる。

「起立、礼」

そして日直の生徒が号令を掛け、ホームルームが始まる。
いつも通りの風景だ。いつも通り過ぎて欠伸が出る。

某高校の男子高校生である俺、燎月蒼魔(りょうげつ そうま)はそんないつも通りの生活を送っていた。
朝起きて、身支度をして、学校へ行き、退屈な授業を受け、家に帰り、夕飯を食べ、湯船に浸かり、寝る。

何度繰り返したかもわからないルーティーンを重ねるうちに、非日常に少しの憧れを持つようになるのは、男子高校生としては仕方ない事なのだと思う。
例えば普通の男子高校生なら、芸能人が学校へ来るとか。多少二次元に染まっている男子高校生なら、可愛い女の子が転校してくるとか。
そんな非日常を少なからず望むのは、現実が退屈だと感じているからなのだろう。

…まぁ、俺の場合は名前から既に軽く非日常なのだが。こんな名前を付けた親を軽く恨めしく思う。

とにかく、だ。そんな非日常を望みながらも、今日も普通の日常が終わると思っていた。
だが、今日は少し違った。

「あー、燎月。お前宛に手紙がある。お国からの手紙のようだが…」
「…あ、ありがとうございます。」

国から手紙が来る、という異例の出来事に思わず心が躍り出しそうだったが、必死に自制し平静を装いつつ手紙を受け取った。

その後は、まぁ、いつものホームルームだった。


「ただいま」
「おかえりー」

その後、帰り道でも特に何もなく家まで帰ってこれた。
食事と入浴を済ませ、担任から受け取った国からの手紙とやらを開いてみる。

「えーと…」

"燎月 蒼魔殿"
"貴殿に重要な話がある。7月29日の15時に、下記の場所まで来て頂きたい。"

「…は?」


~7月29日~

「…で、頑張って来たわけだけど…何処だここ。地図に載ってなかったぞ…?」

雲一つ無い晴天の日に長旅をさせられたので軽く不機嫌になりつつ、待ち合わせ場所となっている、”青蘭学園の校門前”まで歩き出す。


少し歩いた先に、一人の男性が立っていた。どうやらあの人に話し掛ければ良いようだ。

「あの、ここに呼ばれた燎月という者ですが…」
「おお、来てくれたか!長旅ご苦労様だった!さぁ、私に着いてきてくれ」

言われるがままに着いていき、青蘭学園とやらの応接間に迎え入れられた。

「いきなり呼び出してすまないね。私はこの学園の教頭だ。よろしく頼む。」
「あ、はい。燎月蒼魔です。よろしくお願いします。」
「はっはっは、そう畏まらなくて大丈夫だよ」

いきなり呼び出されて見知らぬ人に案内されて畏まらないというか、警戒しない人の方が珍しいと思うが…

「で、君を呼んだ理由だが…君は、何か特殊能力のようなものを見たことがあるかい?」
「見たことは…ないですね」
「では、そのようなものが実在すると思うかい?」
「…思わないです。現実の世界では、無いと思っています」
「実在する、といって、信じてくれるかね?」
「…まぁ、ここが地図に載っていないことや、様々な事を考慮して、信じるに値すると思います」
「そうか。では、君にその特殊な能力がある、といって信じてくれるかね?」
「それは…信じ難いです。今までそのような事は無かったので」
「ふむ。…突然で申し訳ないが、場所を変えようか」


そう言って、教頭らしい人は俺を屋上まで連れて行った。

「”力を解放する”ようなイメージで、力んでみてくれ」
「…はぁ」

騙されたと思って、言われた通りに力を入れてみる。

すると、俺の周囲に風圧が発生し、いつの間にか左手に赤、右手に青のガントレットが装着された。

「…!?こ、これは?」
「後は自分自身の感覚で力が使えるだろう」

両手を前に突き出し、また力を込めてみる。
すると左手からは炎、右手からは氷が前に放出された。

「おめでとう。それが君の特殊能力、"エクシード"だ。」

イカノイア 3話

紅蓮の戦いを見た後で、テンションが上がっていた二人は、初めてのナワバリバトルに飛び込むことにした。

「えーっと…塗れば良いんだよな!」
「…うん。頑張ろう、ハク。」


ステージ:デカライン高架下
味方チーム
わかばシューター(ハク)
わかばシューター(シズク)
スプラローラー(ボーイ)
スプラシューター(ガール)

敵チーム
スプラローラー(ガール)
わかばシューター(ボーイ)
スプラチャージャー(ボーイ)
スプラローラーコラボ(ガール)


ナワバリバトルが始まり、ハクとシズク以外の二人が各々のルートで前線へと向かう。
ハク達は数秒、スタート地点に取り残される形になった。

「と、とりあえず周りを塗っていこうか」
「…うん」

二人で手分けをして自陣を丁寧に塗っていく。そうこうしている間に、スプラシューターのガールが復活した。

「ほーう、本当に復活するんだぁ……」

何やらハクが感心しているようだったが、まだまだ塗られていない場所があったので、シズクは反応せずに塗り続ける事にした。
開始から一分程度経ち、自陣をあらかた塗り終わった二人は前線へ出た。
前線では敵味方含めた、ローラーを持った三人が必死に戦っていた。

「…ハク?」
「ん、シズク、どうした?」
「『バリア』って、味方にも、分けられる…んだよね?」
「あぁ、そうらしいな」
「…じゃあ、あそこで戦ってる味方に、バリアを分けられる、ってことだよね……?」
「…!そういう事か!よしわかった!」

ハクが、ローラーで戦っている味方のボーイに近づき、バリアを発動させる。
ハクを包んだ透明な球体はすぐにローラーボーイにも分けられ、ローラーボーイは敵チームの二人を倒した。

「ありがとう!助かったよ!!」
「おう!どういたしまして!」

敵が倒され、安全になったのを確認してから、シズクも近づく。

「やったな、シズク!」
「……うん」

そして味方全員で隅々まで塗り、時間になる。
結果は快勝。初のバトルは勝利で終わった。

ロビーから出て、ハクは体をぐーっと伸ばす。

「いやー、楽しかったな!」
「…うん、楽しかった。」
「そういえば、ランクが上がりました、って受付の人に言われたけど、どういう事なんだろう?」
「…『ランクとは、キミがイカにイカしてるかを表す単位の事。ランクを上げると、新しい事が出来るようになったり、新しいブキが使えるようになるぞ!』……だって。」
「し、初心者向けのガイドブック…いつの間に?」
「…駅に着いた時、ご自由にお取りください、ってあったから、取ってきた。」
「そ、そうだったのか!」
「…視界が狭くなるほど、楽しみだったんだね。」

幻想人迷劇 その弐拾陸

あの後俺は家に帰り、湯に浸かって寝た。
起きれば元気に戻ってるだろう、と信じて。

「...ん、んぅ...」

小鳥がさえずり出したのをスイッチに目が覚めた。
とりあえず今日は博麗神社に行く予定だからとっとと支度しよう。

「...痛っ」

自分の脚が妙に痛い。何故だろう。
ふと、昨日のことを思い出す。
フランちゃんと弾幕ごっこして...
ここでもう気がついた。

「筋肉痛かよ...」


〜博麗神社へ〜

「...って事がありましてね...」
「...ふふふっ、ごめんなさいね、笑いが止まらなくて」
「自分でも笑い話にしかならないなって覚悟で話してたので大丈夫ですよ...あたた、まだ痛い。」

なんとか身支度を済ませて神社へ来たのだが、よく考えたらなんで箒で移動してるのに足が筋肉痛なんだろう。
腑に落ちないものを感じたけど、気にしたら負けな気がするので気にしないことにした。

「...あ、そういえば、あんたと私って弾幕戦したこと無いわよね?」
「言われてみればそうですね...ってまさか」
弾幕戦しましょ!」

突然のこと過ぎて頭が追いつかない。そもそも勝てる気がしないので敢えて戦わないようにしてたのにこの有様である。

「いや、でも筋肉痛...」
「男が弱音吐かないの!ほら!」
「いや、ちょ、痛たたた!」

無理矢理引っ張られたせいで足が超痛い。
まぁ、空中で戦えば足は大丈夫か。

「仕方ないですね...でも真面目にはやりませんからね?色々と試したいことあるので。」
「問題ないわ!さぁ始めましょう!」

何でこんなにやる気MAXなんだこの巫女さんは。


「じゃあ私から行くわよ!夢符『封魔陣』!」

こっちの了承もなく突然始まった。まぁいきなり明珠暗投とかよりはまだマシだと思いたい。
とはいえ、対応出来ずに周りを札で囲まれてしまった。身動きが取り辛い状況で弾が飛んでくるので非常に厄介だ。

「どうしろと...」

兎にも角にもこちらからも動かなくては何も出来ないから、何か手を打たなくては。
とりあえず1発。

「恋符『マスタースパーク』!」

霊夢さんに向かって撃ったはいいものの、やはり避けられた。
でも封魔陣を形成している札の壁に穴を開けられたので閉まる前に突破する。

「むぅ、やるじゃない」
「流石にアレで終わるわけには行かないですので...」
「まぁそうね、アレで終わられたら私もつまらないもの。」
「そういう事です。...こちらからも行きますよ!黒魔『イベントホライズン』!」

弾幕を形成して、攻撃を仕掛ける。

「...えっ!?」

霊夢さんに向かって弾を撃とうとしたがそこにはもう誰もいなかった。
ならばどこへ行ったのだろうか?

「...甘いわね」
「...っ!時符『プライベートスクウェア』!」

背中側から亜空穴で飛び出してきたであろう霊夢さんの声が聞こえたので少しの間だけ時を止めて距離を取る。
ザ・ワールドを使うには一呼吸か二呼吸必要だから、別のスペルで止めるしかなかったのだ。

「...本当にその異次元転移やめてください...」
「使える手段は使わないと勿体無いじゃない?」
「そうですけども!あーもう!試したい事今からやりますから!覚悟して下さいね!」
「それを待ってたわ!」

道具袋から刀を1つ取り出し、自分の前に構える。
自身の持っている、夢想封印のスペルカードを発動し、霊魂のターゲットを構えている刀にする。
力を込め、刀に霊魂を纏わせる。
周りに細かい弾幕を張り、霊夢さんに向かって飛び出す。

「霊符『夢想封印 斬』!」
「…っ!」

霊夢さんに躱されたものの、そのまま切り抜ける。
止まった後、刀を振った空間に大きな爆発が起き、そこから大量の弾幕が全方位にばらまかれる。
その弾幕すらも霊夢さんは軽々と避け、再び正面に対峙した。

「当たらない…」
「凄いスペルね。流石に危険を感じたわ。」
「でも霊夢さん軽々と避けてたじゃないですか」
「まぁ、密度の高い弾幕は今まで何度も経験してるから。でも、今のスペル、私じゃなければ普通に当たってたと思うわよ。それくらい、強いスペルだったわ。」
「有難うございます、博麗の巫女の実力は本物ですね…感服致しました。」
「いえいえ。さて、終わらせましょうか。」
「えっ」

即座に霊夢さんが後ろに下がり、印を組む。
なにやらマズイ気がしたので一筋のレーザーを霊夢さんに向かって撃った。
レーザーは霊夢さんに命中したが、手応えがない。
次第に霊夢さんの影があやふやになり、集中しないと目視出来なくなってくる。

「このスペルは、まさか…!」

「『夢想天生』」

霊夢さんの周りに陰陽玉が1つ現れる。陰陽玉は洗濯機の様に霊夢さんの周りを旋回している。
2つ目の陰陽玉が現れる。その後も、3つ、4つと霊夢さんの周りにある陰陽玉が増えていく。
その陰陽玉が8つになった瞬間、大量の札の弾幕が襲い掛かって来た。
自分はなす術もなく、押し寄せてくる大量の弾幕に撃ち落とされた。弾幕戦はここで終わった。


弾幕戦後〜


「足、大丈夫?」

氷袋を持って、霊夢さんが神社の中から戻ってきた。
あの後、気絶して落下していた自分は地面に着く少し前に気を取り戻し、着地体勢を整えようとしたが、間に合わずに足を捻ってしまったのだ。

「大丈夫ですよ。寝て起きればすぐに治るはずです。」
「そう?なら、いいんだけど。」

霊夢さんはそれでも心配そうな顔をする。根はきっと優しい人なのだろう。多分。

「さて、と。それじゃ、ここいらでおいとましますね。」
「うん、気を付けて。」

そうして博麗神社を後にする。
正直、足は超痛い。でも、あそこでお世話になってると申し訳なくなってくるから早めに逃げたかった。
明日は永遠亭に寄ろう。多分ちょっと骨折れてるから。

「…長い午前だったなぁ。いてて…」

イカノイアで節分ネタ(書きたかっただけ)

―朝飯を食べ終わったら話がある。
朝早くからハクにそんな事を言われ、訝しげに思いつつも、朝ご飯を美味しく頂き、ハクの話を聞く。


「シズク!今日は何の日か知ってるか!?」

「ハク、テンション高いね...節分でしょ?」

「そう!節分だ!って事で我が家にゲストを呼んだぞ!」

「いきなり過ぎるよ...で、そのゲストって誰なの?」

「ほいほい、急に呼び出された紅蓮だよっと。」

「同じくダイナモちゃんことダイナモだよー!よろしくねー!」

「...うん、まぁ、この2人くらいしか今の所出てないもんね。よろしく。」

「メタ発音良クナイ。んで、呼び出されたはいいけど何するの?」

「よくぞ聞いてくれました!この4人でこれをやろうと思います!」

「これは...豆?って事は豆まきかなー?」

「そう、豆まきです!鬼はくじで適当に決めますよ!」

「お願いだから私にはならないでよね...」

「...ほい!出ました!...えっとー?紅蓮さんです!はいこれ鬼のお面!」

「わぁーマジか!OK、頑張るよ!」

「シズクとダイナモさんには、はい!豆まき用の豆!」

「ありがとー!よし、紅蓮くん、覚悟だよ!」

「...あ、美味しい」

「あ、ちょ、シズク!?豆食べないでー!?」


〜始まりました~


「よっしゃ頑張るぞ!鬼は外ー!服は内ー!」シュッ!

「鬼はー外ー、福はー内ー。」ポイッ

「ふはははは、効かんな!痛くもかゆくもないわ!」

「よーし、次は私だよー!鬼は外ー!!福は内ー!!」ギュン!!!

「痛い!超痛い!待ってマジで痛い!!!」

「...あ、やられた。」

「あちゃー...やり過ぎちゃったかー。」

「豆で倒すとかどんなスピードで飛んでたんだ豆...怖い...」

「...で、ハク。どうするのこれ。食べてもいい?」

「私も食べたーい!」

「と、とりあえず残った豆を食べようか...」

「これ後片付けどうすんの...面倒臭そうなんだけど...」



「...あ、れ?今のは...夢?」

明るい日差しが部屋に射し込む。部屋を見渡しても豆の残骸は無く、いつもの綺麗な部屋のままだった。

「シズクー!朝ご飯出来たぞー!」

ハクの明るい声が聞こえる。どうやら本当に夢だったようだ。
実際にあったらたまったもんじゃないし、良かったな、と嘆息する。

「...ん、今行く。」

今日はどんな1日になるだろうか。どんな楽しい事があるだろうか。
まぁ、まずはここに慣れることからかな。
そんな事を考えつつ美味しい匂いのする先へ向かう。

「あ、そうだ。朝飯を食べ終わったら話があるんだ。」
「急に真面目な顔してどうしたの?」
「そんな顔してた?...まぁ、とりあえず朝飯を食べよう!いただきます!」
「...いただきます。」


―そして最初に戻る。

リンミドが書きたくなった。それ以外に理由がいるのかい?

※この話はトワプリでラスボス撃破後にミドナがこっちの世界に残った設定の話です。この時点ではまだ恋に落ちてはいません。しかも真のミドナの姿ではありません。



―最近、アイツを見ていると胸がモヤっとする。


「...やれやれ、本当にお人好しな勇者様だこと。」

ガノンドロフを倒したあと、アイツは村に帰って平穏な生活を送る、と言って帰ろうとした。
ワタシはそんな生活を見てからかってやろうと思ってこの世界に残り、ついて行く事にした。
だがワタシがいくらからかってもアイツは嫌な顔ひとつせずに返してくるのでつまらない。
そんな状態が続いてもう数ヶ月が経つ。

「頼まれたら断れない性格なんだよ」

家の修理の為に木を集めて欲しい、と頼まれたワタシ達(まぁ、まだワタシは存在をかくしているが)は言われた通りに木を集め、帰路についたところだった。

「全く...。早く帰りたいし、手伝ってやるよ、少し寄越しな。」
「いや、ミドナとはいえ、女性に荷物持ちなんてさせれないよ」

アイツはそう言うと屈託の無い笑顔をワタシに見せた。

(...まただ。また胸が、モヤっと...)

アイツがワタシに笑いかける度にワタシの胸がモヤっとする。

―この感覚は一体何なんだ。

「ハァ...じゃあお言葉に甘えてやるよ」

相談しようかと思ったが、恐らく当事者であるアイツに訊く訳にはいかないし、まずアイツに相談なんてワタシが許さない。

暫く経ってトアル村に着くとアイツは頼み事をした村人のもとへ真っ先に向かった。ワタシはアイツの影に潜んでやり取りが終わるのを待ち、近くに誰もいなくなった頃に影から出てアイツの様子を見ていた。

「なぁ」
「?どうした、ミドナ
「オマエ、明日はどうするんだ?何処かに行くつもりだろう」
「え、なんで分かったの」
「オマエの足取りが楽しそうだったからな。」
「そ、そうか。...ハイラル城に行くつもりだよ。」
ハイラル城って...何をしに行くんだ」
「この前、ゼルダにいつかハイラル城に来てくださいね、って言われてたのを忘れてて。」
「オマエ...そういうのは言われた後すぐに行くべきだろ...」
「...返す言葉もございません」
「...とりあえず、今日はもう寝ろ。どうせ疲れてるんだろ?」
「うん、そうするよ」


[翌日]


「...よし、行こうか」
「オマエ、準備にそんなに時間かかるタイプだったっけ」
「この服着るの久しぶりだったからなぁ」
「全く...こんなのが本当に世界を救った勇者様なのかねぇ」
「ずっと一緒にいた癖に今更何を...まぁいいや、出発しよう」
「はいよ」

ハイラル城に着き、アイツの顔パスで城内に入ると豪華な装飾が目に入った。

「うーん...ゼルダ怒ってるかなぁ」
「もし呼んだのがゼルダじゃなくてワタシだったら顔見せた瞬間首が飛んでると思った方がいいぞ」
「うわぁ...」
「ククッ、どうなることやら...」

(まぁ、不安を煽ったけれども、間違いなくゼルダの性格なら怒りはしないだろうな。むしろ笑って許しそうな気すらするが)

明らかに不安げな表情を浮かべているアイツを面白がりながら、ワタシ達はゼルダのもとへ急いだ。

「ハァ、ハァ...ッ...ゼルダ!」
「リ、リンク!?そんなに急いでどうしたのですか!?」
「遅れて...っごめん!」
「...何のこと...でしょう?」
「...え?だって...」

アイツが事情を説明し終わると、ゼルダは笑いだし、怒ってなんかいない、と言った。
ワタシも笑いを堪えきれず笑いだし、アイツだけがポカンとしたまま笑いがこだました。

結局、ハイラル城に泊まる事になり、色んな事があった後の夜、アイツが寝た後、なかなか寝れなかったワタシは部屋を抜け出し、ゼルダの所へ向かった。

「なぁ、ゼルダ
「あら...ミドナさん。どうしたのですか?」
「最近さぁ...アイツの顔見てるとなんかこう、胸がモヤっとするんだけどさぁ、何なんだろう?」
「!...ミドナさん、それは...」
「それは...?」
「...恋、ですわね」
「...っ!?そ、そそそそんな訳あるわけ...!」
「いいえ。間違いなく貴女はリンクに恋をしています。今の反応で確信しました。」
(い、いやいやいや、確かにアイツの事は嫌いじゃないけど、す、す、好きだなんて...ワタシがアイツを...リンクのことを...!?)


[そしてまた翌日]


「ん...んぅ...ミドナおはよう...」
「ふぇ!?あ、お、おはようっ」
「?どうしたの?ミドナ、なんか様子おかしいよ?」
「な、何でもない!ほら、早く着替えろよ!」
「お、おう」
(だ...ダメだ、変に意識してしまう...)

「準備出来たぞ、ミドナ
「あ、相変わらず準備が遅いな、リンクは」
「!...ふふっ。」
「な、なんだよ」
「いや、やっと『リンク』って読んでくれたな、って。」
「...き、気のせいだろ!」
「そうだねー?」
「こ、このっ...バカ...。」

イカノイア 2話

「さて、シズク。」
「な、何?ハク。」

今日はハイカラシティに来てから2日目。
昨日はあの後、飽きるまで二人でハイカラシティの観光をし、帰った後すぐに寝てしまった。
そして、今、2日目の朝に至る。

「ここに住むイカしたイカ達が毎日行っている事はなんだ。」
「え、うーん...ナワバリバトル...?」
「その通り!さぁ今日はそのナワバリバトルに行ってみようじゃないか!」

ハクは満面の笑みで叫んだ。

「あぁ...朝からうずうずしてると思ったらそういう事なのね...わかった。じゃあ準備しようか。」
「おう!」

ハクはすぐ着替え、シズクを待った。

「お待たせ...着替え早いね」
「楽しみで仕方なくてな!」

ハクからすれば、シズクもいつもより早い着替えなのだが、そこは触れないことにした。
おそらくシズクも楽しみなのだろう。

「んじゃ行くか!」
「うん」

二人は街へ出た。そこでハクはまだ行ってない場所があることに気がついた。

「なぁ、シズク」
「どうしたの?」
「あの路地裏...なんかありそうじゃないか?」
「...確かにありそうだけど、少しやな予感がする」
「そうか?まぁ行ってみようぜ!」
「えぇ、ちょっと...」

ハクはシズクの手を引いて路地裏へ向かった。
そこには、ウニのような頭をした何かがいた。

「...何アレ」
「なんだろうな。あのー、お兄さん?」

ハクはとりあえずその男性とおぼしきそれに話しかけた。

「ちゅーす」
「...ん?オマエぜんぜんイカしてないのナ」
「おにーさん、ランク4くらいのイカしたヤツにしかキョーミないんだワ」
「もうちょっとバトルでブイブイいわしてからきてくれナ」
「ち、ちょっと待ってくれ!」
「ん?」
「せめてアンタがどんな事をしてるのかだけ聞かせてもらえないか?」
「んー、しかたないナ、特別に話してやるヨ」

そう言ってこの男性は話し出した。
ハクはそれに聞き入り、シズクはそれを少し離れたところで待つ形になった。

しばらく聞いていると、シズクは後ろから声をかけられた。

「ねぇねぇ、キミ初心者?」
「...私ですか?」
「そうそう!てかキミ以外にいないけどね!もし良かったらさ、ボク達とプラベで遊ばない?」
「...あ、いや...け、結構です...」
「大丈夫!優しくするからさ!行こうよ!ね?」

二人の男がシズクの手を引っ張ろうとしたところで、突如その手が持ち上げられた。

「はーいストップ。」
「あ?ンだようるせぇな、邪魔すんなよ!」

男達は手を振り払おうとしたが、逃がしてもらえない。

「でも、その子嫌がってるじゃん。」
「文句あんのかよコラ!」
「別に文句は無いけどさ。そんなにプラベで遊びたいなら俺が相手になるよ?二人まとめてかかってきなよ」
「...上等だコラ、逃げんじゃねぇぞ!」
「はいはい、逃げませんよーっと。...あ、君もおいで?そこのボーイフレンドと一緒にさ。」

その男性はシズクに声をかけ、ハクと一緒に来ることを勧めた。

「...あ、はい...」

シズクはまだ話しているハクの手を引っ張り、プライベートマッチに参加し、救ってくれた男性のチームに入り、見ることにした。

ステージはハコフグ倉庫。
後から教えてもらったのだが、男性の武器は3kスコープ、不良達の武器は.96ガロンと.52ガロンだった。

「君達は危なくない所で見ててなー!」

そう言って男性は慣れた様子で出ていった。
とりあえず二人は近くのインクに隠れ、じっと見ることにした。
すると、不良達が中央に進んできた。

「お、来た来た...。」

彼は武器を構え、身を隠しながらチャージを始めた。

「アイツはリッターだ、どこにいるかわかんねぇから気をつけろよ」
「当たり前だ...うぐっ!?」
「...ウッソだろ...」

「とまぁ、こんな感じで。」

彼は少し身を乗り出した瞬間に射撃し、見事に命中させてみせた。

「すっげぇな...」
「うん...」

「...クソ!隠れてねぇで出てこ...ん?なんだ、見当違いな方向向いてんじゃねぇか、今のうちに下から倒してやる...うわっ!」

今度は全く違う方向から瞬間的に方向変換して命中させてみせた。

「どんなもんよ、へへっ」

彼は自慢げにしている。

「何今の...何したかわかんなかったんだけど...」
「か...恰好いいな」

そのうち不良達がまた戻ってきた。

「出て来いっつってんだよ!」
「かかってこいよ卑怯者!」

「はーいよー」

今にも口笛を吹きそうな気軽さで彼は中央に出た。

「ははっ!馬鹿正直に出てきやがって!死ねやお...ぎゃあ!」

先に気がついた.96ガロンの方が一瞬でやられた。
彼の手には、水風船のような物が握られている。

「馬鹿なのはどっちなのかね...それっ!」

彼はその水風船のような物を残った.52ガロンに投げつけ、倒した。

「強すぎだろ...」
「強すぎだね...」

結局、その後は中央に陣取った彼に近づくことも出来ずに不良達は惨敗した。

「くっそ...覚えてろよ!」
「何のことかわかりませーん。」

罵詈雑言を吐きながら逃げる不良達を横目に、彼はスッキリしたような表情で茶化していた。

「あ、あの...ありがとうございました。」
「え、あぁ、いいのいいの!俺が好きでやった事だから!」

シズクがお礼を言うと、彼はそんな言葉もったいない、と言わんばかりに何故か言い訳している。
ハクは考えていた。アレと同じ武器が使いたい、と。そして今度は俺がシズクを守るんだ、と。

「あの、お兄さん!」
「お、どうした?」
「名前聞かせてもらえませんか?それと出来ればお友達に...」
「おお、いいよー!名前は紅蓮って言うんだ、よろしくー!そっちの子も、よろしくねー!」
「あ...はい...宜しくお願いします...」

そんなやり取りをしていると、ロビーから1人のガールが出てきた。

「おーい紅蓮くーん?まだなのー?」
「あぁごめんダイナモちゃん!ちょっとゴロツキに絡まれてた初心者君たち助けてて!」

紅蓮にダイナモちゃん、と呼ばれたガールは二人を見るやいなや走ってきて、

「わぁ、君達これから頑張るんだね!?私、ダイナモっていうの!二人ともよろしくねー!あ、フレンドになろう?」
「え、あ、はい!」
「...宜しく、お願いします...」

二人は勢いに流されながら紅蓮とダイナモと連絡先を交換した。
ハクまでペースにのまれる程の勢い。
この人と上手くやっていけるか少しシズクは不安になった。